多様な人材活用の視点。
教員免許を取得するため、進学を目指しました。
小さいころから受診していた眼科で働きながら学費を貯めました。関係者の方が知り合いで声をかけてくださったのです。眼科では周囲の方と同じよな業務をこなすことはできませんでしたが、私にやれることをさせていただきました。これも、私の障害について理解のある方たちに支えられていたからこそ勤められたので、本当に感謝しています。
進学するために、次の春には辞めることになっていました。
そんなある日、正社員として働かないかというお声をかけていただきました。正直、高校卒業後に就職した先で経験したことが頭をよぎり、教員が務まるのかわからないままだったので、迷いました。このまま眼科で正社員になったら、見え方を理解されている環境なので勤められると思いました。
けれど、どうしても幼いころから抱き続けた教員になる夢を諦めきれませんでした。私にとって、ただの教員ではなかったのです。
「障害者だからこそ、同じ境遇の子どもたちの力になりたい!障害をもって生まれたことを大いに活かして生きていきたい!」
と心の底から思いました。この出来事が、盲学校の教員になりたい気持ちを更に強く抱かせてくれました。
****振り返って思うこと*****
眼科の正社員のお誘いに、心が揺れたことを覚えています。
自分の障害の特性を抱えて教員が勤まるのか不安でした。
本当は怖くて怖くて仕方がありませんでした。
もし、教員を目指し、その先で同じようなことが起きたらどうしよう・・・。
葛藤しました。
しかし、眼科では私ができることは少なく、1日の大半を待機して過ごしていました。
眼科ですから、低視力の私が検査することもできません。
周りは忙しくしているけれど、私は私にできる仕事があるまで待機。
私って何かの役に立てているのだろうか・・・・。
そんな気持ちを抱えていました。
しかし、口には出せませんでした。
だって、雇っていただけているだけで感謝の気持ちでいっぱいだったからです。
障害者雇用に関する知識を身に付けた現在の私に言えることは、適材適所や仕事とのマッチングがとても重要だということです。
障害をもった方が「何ができないのか」ではなく、「何ができるか」に注目することです。
ただ、そこに存在していれば良い訳ではありません。
障害者が自分の得意分野で活躍する環境に視点を置くことが大切です。
それが、多様な人材を活用することだと思います。