学年相応の学力を取り戻す。
転校後、見えやすい環境で過ごしたことで、学年に応じた学力を取り戻しました。
特に学習面において、下記の点が解消されたり、自分が苦手なのだということがわかったりしました。
●書字の速度や読む速度が見え方により遅い
→適切な学習の進度
→拡大教科書や単眼鏡、ルーペを用いた読み書きを取り入れた
●照度による見え方の変化に気が付いた ※特に冬道や日差しの強い日
→遮光レンズを使用したり、カーテンによる照度の調節
●強度乱視や眼振のため画数の多い漢字が苦手
→日常にあふれている漢字を目にする機会が少ないので学習時間を多く設定(昼休みや毎日の宿題)した
→漢字の細部まで見える教材を使用した
→漢字カルタで「へん」と「つくり」の部首を意識して覚えた
●理科の実験の手順や様子、反応を確認するのが苦手だった
→1人から2人で一つの器具を使用して実験を行うことで、よく見ながら取り組むことができた
→見えにくい反応は、教員が図に表現してくれたり言葉で説明してくれたりした
●社会の地図や年表が苦手だった
→拡大教科書やルーペを使用して、しっかり見る時間が設定されていた
→ルーペより拡大することができる拡大読書器(ディスプレイに映し出す)を使用した
●数学の定規やコンパスの使用に苦労した
→見やすい定規や分度器を使用した
→作図の単元は、繰り返し問題を解く時間が設定されていた
●芸体類の授業では模倣が難しいうえに、動きのあるものを認知するのが困難
→体育は、教員が近くで動きを見せてくれたり、実際に動かしながら確認したりさせてくれた
→美術の風景画を描く際は、ビデオカメラで風景を映し出された
→音楽の楽器演奏は、見えやすい楽譜を使用したり、机に傾斜をつくり視距離を調節したり、暗譜する時間を大目に設定されていた
→家庭科は、見えやすい太めの針と糸を使用し、布と糸のコントラストの良いものを選択できた
これらは、特に苦労した点を教科ごとに書きました。細かいものを挙げれば、もっとあります。
困難さをどう改善または克服したのかも一緒に記載しました。
しかし、これらは私の見え方の場合です。視覚障害者のすべての方が、これに該当するわけではありません。盲学校では見え方に応じて支援の内容を工夫しています。
視覚障害者が5人いれば、5通りの見え方があるのです。※5人は弱視の方とします
ずばり!「私の見え方」に合った環境で学習することで、学力が向上しました!
正直、盲学校に在籍していたときは、このような支援の内容を認識していませんでした。私が特別支援学校の教員になってから経験を重ねながら当時を思い出すうちに、整理することができました。
両親が判断してくれた転校。
この判断がもっともっと遅ければ、私はその後、学力を学年相応まで取り戻すのは難しかったと思います。 教員として働いていた時も痛感しましたが、小学校4年生から学習内容がぐんと難しくなっていきます 当時、小さな私には、適切な判断はできなかったでしょうから、転校を判断してくれた両親に心から感謝しています。