高校受験の思い出。

 

中学3年生まで特別支援学校である盲学校に在籍していました。

いよいよ受験校を決める時期がやってきましたが、高等盲学校にするのか、地元の高校にするのか本当に迷いました。

 

一番引っ掛かっていたのは、小学校で学力が著しく低下した経験があったことと、周囲の人たちに視覚障害についてどう理解してもらったら良いのかという点でした。

しかし、決め手となった考えがありました。

 

「私という人と出会うことで視覚に障害をもった方について知ってほしい。そのためにも、大勢の人の中で過ごして、自分のことを隠さずに伝えていきたい。」

 

この考えは、弁論大会で発表した原稿の記事にも書いてあったように、私の大切なものでした。啓発活動をしたいと思ったきっかけも、視覚障害を知ってほしいというものなので、このころから変わっていない大切な考えなのです。

 

なかなか勇気が出ず決めかねていましたが、やりたいことをすべきだと思い、地元の高校を受験することにしました。

 

高校受験当日。

 

受験番号を伝え、席に座ると・・・

 

面接官「一人でトイレに行けますか?」

私「はい。・・・行けます。」

面接官「一人でお茶を飲むことはできますか?」

私「はい。・・・飲めます。」

(質問されたら兎に角「はい。」ということは、練習通りできた)

 

このような質問は私のことを知りたくてしたものです。しかし、この瞬間、視覚に障害をもった方がどのようなことに不自由なのか想像するのは難しいということと、この方だけではなく社会において同じようなことが言えるのだろうと感じました。

 

盲学校では単一障害であればトイレに一人で行けない児童生徒はいませんでした。また、飲み物も自分たちで飲めます。それが、当たり前だったため、このような質問をされるとは思っていなかったのです。

 

驚きはありましたが、それと同時に、

「自分を通して視覚障害をより多くの人に伝えたい!」

と、心から思いました。進路選択を色々と迷いましたが、大勢の人たちがいる高校で頑張っていくことを強く決心しました。